寝台特急個室の旅
寝台特急個室の旅 (2008.2.17初稿、4.6改定) 

  あけぼの シングル・ツイン(A寝台個室)上野→青森 乗車記 (2006.12)
  北斗星 ロイヤル(A寝台個室) 札幌→上野 乗車記 (2007.3)

  トワイライトエクスプレス ロイヤル(A寝台個室) 札幌→大阪 乗車記 (2007.7)
  北陸 ソロ(B寝台個室) 上野→金沢 乗車記 (2007.12)
  日本海 シングル(A寝台個室) 大阪→青森 乗車記 (2007.12)

  あけぼの ソロ(B寝台個室) 上野→東能代 乗車記 (2008.3.5)

 それはほんの気紛れから始まった。JR東日本三日間乗り放題の大人の休日切符を手にしたとき、どうせなら無駄な、日頃乗るはずもない列車に乗って見ようと考えた。
 子供の頃、遠距離旅行の半分は夜行だった。夜行列車という言葉に強いノスタルジーを感じるのは、その幼児体験からかも知れない。彼方から蒸気機関車のドラフト音が聞こえ、闇を切り裂くようにホイッスルが鳴り響く。心地よいリズミカルな音を聞き、減光された車内から過ぎる街の灯を眺め、興奮して寝付けなかったのを思い出す。初めて寝台特急に乗ったのは学生の頃、初めての九州行き。梅雨明けの陽光に照らされ燦然と輝く有明海の美しかったこと。
 それもこれも、もう30年以上も昔の事だ。新幹線が延伸し、飛行機が気軽に乗れるようになり、夜行列車もましてや寝台列車にも縁が無くなっていた。無駄な旅行なら名残のブルートレインで、郷愁にどっぷり漬かってみるのも悪くない。そんな気持ちから寝台車の旅を思い立った。

 昨年12月、あけぼのA寝台個室で上野から青森に向った。このときの興奮を今でも思い出す。これほど旅情に浸れる移動手段があったことを、この歳まで知らなかったことを悔やんだ。一度だけのつもりが止められなくなり、北斗星トワイライトエクスプレス北陸日本海と一年余りの間に5回も乗車してしまった。
  昔、青森で仕事をし、次の日には上京する事になったとき、寝台列車に懲りた経験がある。蚕棚と呼ばれる開放2段寝台、下の話声が気になって眠れず、おまけに12時間横になっていたため腰痛が残った。しかし今は、年に数回個室寝台に乗るくらいの経済力はある。自分の部屋があり、しかもその部屋が動き、寝ようが体操しようがすべて自由。こんな移動手段が他にあるだろうか。
 特にトワイライトエクスプレスの夢のような旅情は強く心に残っている。いつの日か大阪発札幌行き下りトワイライトエクスプレスの最後尾、1号車1番スイートルームに乗るのが、残された夢である。

 寝台特急の多くが青い車体だったためブルートレインと呼ばれるが、新しく登場したトワイライトエクスプレスカシオペアサンライズ瀬戸・出雲のようにブルーではない寝台特急も多くなった。
 ここ数十年の傾向として、ブルートレインの淘汰が凄まじい。今年3月あかつきなは廃止、北斗星日本海減便。そして来年3月にははやぶさ富士の廃止と続き、九州ブルートレインは全滅となる。新幹線は2010年度に青森まで、2015年度に函館、金沢までの延伸が完成する。北陸日本海あけぼのも廃止は確実だろう。乗ってみるなら今のうちかも知れない。
 九州ブルートレインが廃止になる前に、上りの個室で東京に向ってみたいと思う。名古屋から東京にかけて、伊勢湾、浜名湖、富士山を一人個室でじっくり眺めてみたいものだ。個室寝台の醍醐味は夜だけではない。黄昏る山々やまばゆい朝の陽光を浴びる海を、誰の眼も気にすることなく、窓に正対してぽつねんと眺めていられるのも、個室ならではの楽しみだ。


あけぼの 上野-(高崎-上越-羽越)-青森
上野駅で寝台特急はすべてこの地上ホーム13番線から発着する
A寝台シングル・ツイン
良くわからないネーミングだが、要するに二段ベットになっていて、二人でも使えると言うこと。
北斗星2号 札幌-上野
DD51重連が牽引して入線してくる。この写真は我ながら良く撮れたと思う。知らない駅では、どのように入線するかわからないので、適当に待ち構えている事になる。
ロイヤル室内 とにかく広くて自由自在。右側はシャワールーム
おなじみ上野駅13番ホームに到着 機関車は函館、青森で交換される。本州内は交直流EF81
トワイライトエクスプレス 札幌-大阪
北斗星と同じポジションで入線をねらったが失敗した。真正面から来るため編成の写真が撮れない
ロイヤル室内 今までは部屋を散らかしてからの写真しか無かったので、使う前に一枚撮っておいた
大阪駅まで23時間の旅 機関車は北斗星と同じEF81だが、こちらは特別塗装
一両すべて個室のスロネ25 中央の大窓がスイートで、その左が私の過ごした部屋 
北陸 上野ー金沢
上野駅13番線 機関車は直流用EF64 長岡駅で交直流EF81に交換
B寝台 ソロ 広角28mm(換算値)レンズを持ってしても全体が写らない。寝てしまえば十分なプライベート空間
早暁の金沢駅に到着する。夜明け前だ。早すぎる。
日本海1号 大阪-青森
大阪駅で発車を待つ 最後尾の電源車カニ24
A寝台 シングル ロイヤルに慣れてしまうと少々寂しい
青森到着 全区間同じEF81が牽引する

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